江戸食と酒と旅の話

江戸文化好きライター・花松のブログ

喫茶店のようにふらっと立ち寄ってほしい。上野の老舗蕎麦屋「連玉庵」【蕎麦前紀行】

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「連玉庵」は、上野の不忍池のほど近い場所にある創業1857(安政4)年の老舗蕎麦屋

店名は不忍池にちなんでいうそう。創業者の窪田八十八が、不忍池の蓮の葉の上にある玉のような蕾から「蓮玉庵」と、名付けたらしい。

上野にはちょこちょこ足を運んでいるので、連玉庵へは何度か行ったことがあるのだが、なんというか、すごくさりげない店だな、と思う。

突出してこれがものすごく美味しいとか珍しいメニューがあるわけでも、ものすごい年季がある建物でもないし、こ、これは!?みたいなものがないのだ。(唯一外壁は戦後のままを保っていてそそられるけど)

それなのに、不思議と何度も足を運んでしまう。

 

店内は平成に入り改装したとのことで、和モダンなつくりだ。

この日の蕎麦前メニューは、蕎麦の実なめこ、鴨の燻製、天ぷら。

ビールやぬる燗片手に、楽しむ。というか、以前は、蕎麦以外は、板わさ、焼きのり、月見いも程度しかなかったのに(つきだしは別)、いつのまにはメニューが増えていた。

蕎麦の実なめこは、なめこおろし的なやつに蕎麦の実が入っているもの。さっぱりしていて大好きな味だった。鴨の燻製は日本酒と。天ぷらは、サクッと軽い食感とゴマ油の香りが印象的。蕎麦は、ランチのみで出している3枚重ねのせいろを。普通のせいろ2枚と季節によって変わる変わり種蕎麦。この日はゆずだった。

濃いめのつゆにつけていただく。

のど越しとコシは最高。蕎麦の風味はほんわり。上品な蕎麦。するする食べられる。ちにみ量も上品。でも、酒と楽しむならこれぐらいがいいのかもしれない、といいつつも、人気の鳥南蛮蕎麦も追加。鳥がやわらかく、柚子の香りと蕎麦と一緒にほおばると、またせいろとは違う幸せが口いっぱいに広がる。

汁はこちらも濃いめ。江戸の味だ。

 

連玉庵は、少し不思議な蕎麦屋だと思う。

例えば、並木藪蕎麦なら、蕎麦屋に行くぞ!と心づもりをするし並ぶし、同じ上野にある街の蕎麦屋的な老舗ならば、これからタイムスリップするぜみたいな気分になるし、有名店では行列に並ばなくては入れないことも珍しくないが、ここはなんというか、気が付いたらもう店の前にいたみたいな店なのだ。

かといってもちろん、蕎麦の美味しさや、清潔で落ち着いた雰囲気の店内、江戸時代のものだという蕎麦猪口や浮世絵などが飾られている点も、価格やボリューム重視の町蕎麦屋とは一線を画している。

それなのにとにかく、近所の喫茶店に入るのと同じノリで入れるのだな。(店内のインテリアも少し影響しているかも?)若い女性一人で蕎麦屋酒とかも余裕でイケる、と思う。近すぎず遠すぎずの接客もあり、コーヒー飲むみたいに蕎麦と酒を注文できる。(平日の昼とかはちょっとわからないけど)。

森鴎外斎藤茂吉樋口一葉など、明治の文豪たちにも愛されていたそうだが、散歩がてら、食事というよりティータイムのかわりのような感じで利用していたのではないだろうか。江江戸時代には、もともとそ蕎麦屋自体がそのような使われ方をしていたのだけど。ここは特に、と思う。

HPを拝見したところ

当店では、厳選された材料を使用し、独特の製法で「毎日食べても飽きない蕎麦」を目標に心を込めて調理し、お客様に御満足を頂ける様、日々努力しています。

とあった。するする食べられるそ蕎麦も、構えることなく入りやすい店の雰囲気もこのような姿勢からきているのだなと思った。

蕎麦の味とともに、そんな店の空気もいつまでも守り続けてほしいなと思う。

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 この写真は前に来店したときのもの。

 

・連玉庵
東京都台東区上野2-8-7
03-3835-1594
11:30~18:30(LO18:15)11:30~18:30(LO18:15)
定休日 毎週月曜日、第2、4火曜日。祝日は通常通り営業、翌日が定休日。

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